どのような関係にありますか?
貿易収支というのは、ある国が海外とモノの貿易を行った結果の収支であり、輸出額から輸入額を差し引くことによって算出します。
そして、輸出額が輸入額を上回っていれば貿易黒字となり、輸出によって得られた外貨の額が、輸入の際に支払った外貨の額を上回ります。
つまり、これは、国内で外貨の量が増えるということです。
しかしながら、社員に給料を支払ったりするためには、外貨では役に立ちませんので、外貨を自国通貨に交換する必要がでてきます。
それにより、「外貨売り・自国通貨買い」の取引が増加し、その結果、自国通貨が高くなり、外貨が安くなるという圧力が働くことになります。
また、輸入が輸出を上回る貿易赤字の場合は、黒字のときとは正反対になり、国内の外貨が減ってくるので、外貨が高くなり、自国通貨が安くなるという動きになります。
貿易収支は為替レートを動かす要因?
しかしながら、自国通貨が高く、外貨が安くなると、輸出代金が目減りするほか、競争力も低下しますので、やがては売れ行きが落ちていき、貿易収支の黒字は減少していくことになります。
逆に、外貨高・自国通貨安が行き過ぎると、海外におけるモノの値段の競争力が回復して、貿易赤字の削減へと向かい、外貨安・自国通貨高の方向に力が働いていくようになります。
このように、貿易収支は為替レートを動かすとともに、為替レートが貿易収支を変動させる要因としても働きます。
現在は貿易収支だけでは不十分?
貿易収支は、かつては為替レートの変動を説明する最も大きな要因とされてきました。
しかしながら、貿易収支というのは、あくまでもモノの動きだけで説明するものであることから、国際間のお金の動きが自由になった現在では、これだけで為替レートの変動を読むことは困難になっています。
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