投資家の心理から探る行動ファイナンスについて
FX取引では、エントリー(入口)とイグジット(出口)のうち、「どこで買って(or 売って)ポジションを持つか」というエントリーには細心の注意を払うものの、「どこで売って(or 買って)ポジションをクローズし、利益(or 損失)を確定するか」ということについては、個人投資家の意識は薄いといわれています。
専門家の間で流行っている投資家の心理から探る行動ファイナンス分野の研究によりますと、売買を始めていったんポジションを持つと必ず人の心理が働き、合理的な判断が鈍くなるそうです。例えば、次のような選択肢があった場合には、どちらを選択するでしょうか。
■Q1
(1)100%確実に100万円を獲得する
(2)50%の確率で200万円を獲得する
■Q2
(1)100%確実に100万円を損する
(2)50%の確率で200万円を損する
この質問に答えた人のほとんどが、Q1では(1)をQ2では(2)を選択するそうです。ちなみに、期待リターンで考えますと、次のようになりどちらも同じになります。
<期待リターン>
■Q1
(1)100×100%=100万円
(2)200×50%=100万円
■Q2
(1)△100×100%=△100万円
(2)△200×50%=△100万円
では、なぜ同じ期待リターンなのに多くの人は同じ選択をするのですか?
それは、利益を得るときには確実に得たい、損失が出るときにはできるだけ不確実、すなわち先送りしたいという人の心理が働くからだそうです。
こうした心理的な影響があることから、利益が出ているときにはできるだけ確実に利益を得たいという心理が働いてしまうので、「利食い」をあせってしまい、もっと腰を据えて臨めばもっと利益を得ることができたのにと悔やむ投資家が多くなってしまうそうです。
逆に、損失が出たときには、できるだけ損失は確定させたくない、すなわち先送りしたい心理が働いてしまうので、「損切り」を後回しにしてしまい、もっと早く損切っていればこんなに損失を拡大させることはなかったのにと悔やむ投資家が多くなってしまうそうです。
イグジットを決めておく
上記のように、いったん売買を始めてポジションを持ってしまいますと、人は誰でも心理が働いてしまいますから、ポジションを持つ前にどれだけになったら利益・損失を確定させるのかあらかじめ目標を決めていく、つまり、イグジット(出口)をどうするのかを考えておくことが大切です。
なお、利益確定・損切りの中でも、特に損失を拡大させてしまい、最悪の場合資金を失ってしまうことのないように、ストップ・ロス・オーダーは常に置いておくようにしたいところです。
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