ニクソン・ショックとはどのような出来事だったの?
ニクソン・ショックのきっかけは、当時、ベトナム戦争の戦費がかさみ、米国経済の先行きが懸念される中で、世界の投資家がドル札を「金(ゴールド)」に交換してくれと米国に迫ったことにありました。
このままでいくと、早晩、米国の「金」在庫が底をついてしまうという危機的状況に迫られたため、ついに1971年に、一方的にニクソン大統領が、今日限りでドル札と「金」は一切交換に応じないと宣言したのです。
これが「ニクソン・ショック」であり、時代を変えるほどの出来事といわれています。ここに金本位制は終焉を迎え、「金」は公式の場では通貨としての役割を終えることになりました。
信用ベースのシステムの始まり
「金」とドルは交換できなくなりましたが、その代わりに米ドルが基軸通貨となり、為替が変動相場制に移行しました。
これによって、米ドルの価値が人間の信頼によって成立する時代になったのです。つまり、信用通貨制度という信用をベースにしたシステムがスタートしたのです。
そして、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が「通貨の価値を守る番人」として役割を果たすようになりました。
これは、ドルの価値を「金」ではなく、人間の知恵で支えるシステムに移行したことを意味しており、そのような観点からすると、“性善説”に基づく制度と言い換えることもできます。
基軸通貨制度の問題は?
基軸通貨の価値を人間が支える以上は、失敗がつきものともいえます。発行元である米国が経常赤字と財政赤字という「双子の赤字」を長期にわたり抱えていることが、米国経済への強い不信感となって表れたのです。
これにより、マーケットには常に「ドル不安」が付きまとい、為替市場はたびたびドルの価値の乱高下に悩まされることになったのです。
その後の金価格は、ドル、インフレ、金融危機の歴史とともに歩んでいくこととなります。 |