金価格の値動きは原油よりも遅くなる理由は?
金融危機が峠を越えたと見られた状況では、原油は安値からおよそ2倍の75ドル近辺まで上昇したのに対して、「金」の上昇率は2008年の安値からおよそ30%程度の上昇にとどまっています。
また、長期的に見ましても、原油は2008年までの10年間で10倍もの暴騰となりましたが、「金」は1999年に付けた大底の250ドルから4倍程度の上昇に過ぎませんでした。
このように、原油の値動きに比べて「金」の値動きが重い理由は、簡単に言ってしまうと、原油は燃えてなくなってしまうけれど、「金」は腐食せず残るからです。
つまり、「金」の場合は、有史以来採掘された「金」は、すべて何らかの形で地上に残っているということです。
それは、例えば、宝飾品や金地金(ゴールド・バー)、あるいは金貨などの形で個人や政府などによって保有されているのです。
これらの地上在庫は、金価格が上昇すると、リサイクルとしてマーケットに還流してくるのですが、これが「金」の供給を増加させる要因となります。
仮に、鉱山会社が採掘する金鉱石を一次的供給源としますと、リサイクルは二次的供給源といえますが、この二次的供給が金価格の上昇にジワジワとブレーキをかけることから、原油よりも上昇スピードは遅くなるのです。 |