国際金融資本と金(ゴールド)との関係について
「金」は、現在、ユダヤ系の投資家や投資銀行などの金融機関に代表される国際金融資本が、紙幣を印刷・発行する中央銀行と連携して取引管理しています。
なお、「金」には、貨幣的な価値基準としての役割以外にも、装飾品や祝祭時の宗教的儀礼、慣習的儀礼などに使用されるという用途があります。
中国の金需要について
中国では、60年に一度のサイクルで到来する農暦※の「金猪年」がありますが、2007年はまさにその年でした。
中国の伝承では「金猪年」は幸運な年で元気な子供を授かることができるということで、結婚ブームや金の縁起物の置物購入など、大流行が起きました。
つまり、これは人口13億人といわれている中国人が「金」の需要に大きな影響を与えたということです。
※基本的には日本の旧暦と同様のものです。
インドの金需要について
インドでも中国と同じように、文化的・宗教的な伝統に基づいて「金」が購入されますが、インドはかつて、「金」の装飾品の圧倒的な需要国として第1位でした。
インドは全人口のおよそ8割がヒンドゥー教を信仰しているといわれていますが、インドでは「金」は縁起の良い金属とされ、祝祭時に購入したり、贈り物にされたりしています。
これは、ヒンドゥー教の女神の一人で幸福と繁栄を司る美の女神「ラクシュミ」が、「金」の船に乗った2頭の像を従え、「金」の装飾品をあしらった赤いドレスを着ており、手からは金貨が溢れているからのようです。
また、インドでの「金」の大きな需要として、女性が結婚する際に「金」を持参するという風習があります。
これは、ヒンドゥー教において女性は土地相続ができないことから、娘が嫁ぐ際に「金」などのアクセサリーを持たせるのだそうです。
アラブの金需要について
「金」の交易地として知られるのは、UAEアラブ首長国連邦に属するドバイです。
ドバイは、特に1853年のイギリスの保護国となって以来、インドのムンバイ(「良い港」の意味がある旧ボンベイ)とアラビア半島、ひいてはヨーロッパをつなぐ南の貿易海洋ルートの中継地点という歴史的背景を持っています。
また、インドと関係するヒンズー教の寺院やシーク教徒の礼拝所があり、ヒンディー語も話されています。
こうした歴史的背景を持っていることもあって、ドバイには金・商品取引所があり、先物取引が行われています。
ちなみに、ゴールドスークと呼ばれるアーケードには、「金」と「金」の装飾品を扱うアーケードがあり100件ほどの店が存在しています。
ドバイは原油の産出がわずかなこともあり、観光以外にも、金融、交易拠点としての国の運営を目指しているようです。
なお、現在、アブダビ投資庁などのUAEの政府系ファンドであるSWF(Sovereign Wealth Fund:ソブリン・ウェルス・ファンド)は、豊富なオイルマネーを財源に、その資産規模は8,750億ドル(およそ88兆円)ともいわれています。
この資産が、今後どのように商品に投資されるのかが注目されます。 |